2025年08月
膀胱がんの手術後、六週間にわたって抗がん剤を尿道から注入した。
膀胱がんの再発予防目的の薬剤投与だ。
この手術のあと、たこつぼ型心筋症と言うのを発症したため九日間入院した。
退院する時、糖尿病の薬で心不全の予防薬としての飲み薬で「フォシーガ」と言う錠剤をもらった。
これを飲み始めてに三週間たったころから排尿時に尿路に痛みや灼熱感が発生しだした。
尿路にカメラや管を挿入されるのは何とも嫌なものだ。治療や検査だから我慢しているができたら遠慮したい。選択の余地があれば強く強く辞退したい。
かと言って重篤な病にはかかりたくない。
自分の体の部分の痛みや灼熱感はいつになったら消えるのだろう。原因は何だろう。今のところ、心臓血管外科と循環器内科と泌尿器科にかかっている。血液検査や尿検査やエコー検査や心電図検査は続いている。
そして、ボクの苦手なカメラ(内視鏡検査)もどんどん入ってくる。
最近、忍耐とあきらめと言うことを覚えた。それにつれて医療費の支払いもどんどん増えていく。
そしてそれらはいずれも2017年頃に出版されたものがほとんどである。
つまりブームとしては完全に過ぎ去っている。
ある時、十年ほど前に出たスマホの取説が欲しくて出版されたものはないかと書店に問い合わせた。
「もうない。」と言うのが回答だった。
九年ほど前まではたくさんあったが流行が過ぎると誰も欲しいと思わなくなり、
買い手のつかないものは書店の店頭から必然的に消えることになるらしい。
以前にハードボイルドが読みたくなりハヤカワミステリーのマイクハマーシリーズ「裁くのは俺だ」を書店で探したがなかった。
店員も取り寄せようかとか調べようかとも言わない。
もう、ネットショップか図書館で見る以外に方法はないのだろうか。
同様に山田風太郎の「甲賀忍法帖」も書店から消えていた。読者がいないのだそうだ。
徳富蘆花(徳富健次郎)先生の「みみずのたはこと」というエッセイ集がある。
人道主義者、キリスト教徒と言ってもさすが明治の男、根底に武士の気構えが在って
かなりの硬派だ。
当時乞食が何人か物乞いに来ていたらしい。徳富蘆花も裕福ではなく、都内の邸宅を引き払い武蔵野の片田舎の百姓家に引っ越したところで農作物の生産も全然軌道に乗る前だから貧しい頃の話。
履き古しのズック靴を恵んでやったら気に入ってずっと履いていた男がいた。
これなんかは可愛げがある方で、時に食い物をやる。
栗や芋、それがない時は沢庵を何切れか渡したら、「こんなもの」と乞食が馬鹿にして家の前に捨てて逃げたから、蘆花先生立腹してぶち殴ってやろうと追い回したという話。
蘆花先生はかなりの行動派、国際派で帝政時代のロシアに旅行して憧れのトルストイ宅にしばらく逗留していたことがあるらしい。
かなり親密になって帰国してから文通したというからロシア語についても随分堪能であったと思われる。
110年も前でスマホも翻訳機もない時代であるから凄い素晴らしいことだ。
トルストイが日本語をしゃべったのではなくて蘆花先生がロシア語を話したのだから凄い。トルストイ翁の作品も原語で読んでいたのだろう。まったく驚異だ。
突然トルストイが死んだ。
家出して三日目。
田舎の駅で肺炎になり死んだ。
家出理由は妻との喧嘩だ。
トルストイは家族係累が多くそれらを食わせていたがノーベル文学賞の賞金を辞退した。
数々の世界的名作の著作権も放棄しようとした。
つまり金が入ってこない。家族を養えない。
妻は怒る。
トルストイは自分の文学は金で売らないとかいいかっこしても妻子や年寄りの食い扶持も稼げないような亭主はろくでなしだ。
夫婦喧嘩が絶えない。
いかに世紀の文豪でも毎日毎日金のことでかみさんに小言を言われていたらいたたまれなくなり家出した。
トルストイは衰弱して、寂れた田舎の駅で倒れ、あえなく死んでしまう。
その死を悼んでロシア内外から一万人もの人がその葬儀に参列したという。
この死に関して蘆花先生はトルストイの妻に対してロシア語で長文の弾劾文、恨み言を綴って送っている。ロシア語で「トルストイ先生が死んだのは奥さん、貴女のせいだ。貴女が悪い。」と攻撃するのだから凄い。
そしてそれを日本語に訳して自分のエッセイ「みみずのたはこと」に全文掲載しているから大激怒のほどが分かろうというものである。



