手塚治虫名作集 (18) 光線銃ジャック (集英社文庫(コミック版))

友人の漫画家が手塚先生の短編「最後はきみだ。」を薦めてくれたのだけど、見つからない。

代わりに「光線銃(レイ・ガン)ジャック」を見つけた。子供のころ、読んで、何故かタイトルだけが、強烈に印象に残っていた。ストーリーは覚えていなかった。わずか17ページの短編だった。

手塚治虫 THE BEST 15 光線銃ジャック (ジャンプコミックス)

 

未来の地球が舞台のSFで平和と正義と人の命を考えさせられる、いわば、手塚テイストがギュッと詰まった短編の名作。だけど、ストーリーすら忘れていたボクがなぜ、タイトルに強烈な印象を抱いていたかは、わからない。

 

けど、作品中描かれた未来の地球は汚染が進んで、地表に人類は住めなくなっている。

「光線銃(レイ・ガン)ジャック」のふるさと東京は地下の大都市になっている。お尋ね者のジャックは、地下には、入れない。最期は、弱者のロボットたちを逃がして自らは死んでしまう。

 

エンディングの一コマのト書きが悲しい。

 

ジャックは流れ星

ついと、消えていった

200X年の地球の物語     おわり。

 

ガラスの地球を救え―二十一世紀の君たちへ (知恵の森文庫)

仮にxは、1から9のどれかだとして、この作品の描かれた1963年から一番遠い2009年の地球を手塚治虫先生が予言したとしたら、この作品に描かれた地球と、2020年現在の地球は悲しいくらい似ている。安閑としていられない気がした。