ボクの銀行勤務のオーラスは事務センターというところだった。十階建てのビルの三階が仕事場だったが8時~5時の残業一切なしの恵まれた「飼い殺し」職場であった。


 


僕のいた三階は一日中赤ペン持って、書類のチェックをするところだった。ここへ配属されてからノイローゼになったのもいるし、ここへ来る前に営業店では使い物にならなくなって飛ばされて来た者もずいぶんいた。


心因性の病で心療内科へ通院する者、営業店で不祥事を働いた者、傷害事件を起こした者、ハレンチ行為をした者、不倫が発覚して騒ぎを起こした者など等、現在だったら


懲戒解雇されて当然のような素晴らしいキャリアの銀行員たちの、言わば、吹き溜まりであった。


かく言うボクは、たった一回支店長の机を蹴飛ばして「あんたはバカか⁉」と言っただけである。ここに飛ばされた理由がわからん(今思えば、十分適格者だ。)と思った。


 


事務部であるから、書類、電算システム関係、検査関係、手形小切手の集中センター、それから硬貨の袋詰めなどもこのビルの中でやっていた。


最上階に食堂があった。


ここだけが唯一銀行の設備らしい雰囲気があった。それと男女比率が7対3で女性が多かった。


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昼飯時は他の部門の女性と同席して食事を取ることがあった。


夏でも黒っぽいのスウェットパーカーを着ている美少女がいた。冬はパーカー付きの黒のブルゾンを着ていた。実際は二十代後半らしいがボクには少女のように見えた。夏も冬もパーカーのフード部分で顔を覆うようにして一人で行動していた。他の女性行員は制服だったが美少女だけはパーカーを着ていた。


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陰気かというと、全然そんなことはなく、挨拶を明るい声で返してくれた。ちょっと見ただけだが肌が白くて目鼻立ち整って人形のような美少女であった。


 


ボクは後輩のTといつも食堂に行ったが、ほとんどパーカーの美少女と同じ時刻の事が多かった。Tはたちまち、パーカーの美少女に惚れ込んだ。Tは場の空気が読めず、営業店では上司同僚から相手にされず、得意先からもTに対しての苦情が頻発し、ここに来た。


 


そのTが美少女に告白するという日になって社員食堂のおばちゃんがTに言った。


 


「あんた、あの子を好きなのはよく分かるけど告白するのはやめな。」


Tが驚くとおばちゃんは話し出した。


 


「あの子は紫外線がだめなんだよ。夏も冬も黒い頭巾のついた服着てズボン履いてるだろ。光線に当たると体調不良になるんだよ。それであの格好してるの。警察にもたびたび職務質問されるって。かわいそうだろ。あの子は恋愛も結婚もとっくに諦めてるのさ。結婚して自分と同じ体質の子が生まれたらかわいそうだって。友達も作らない。自分と仲良くしてもらっても、突然自分が入院したら周りは悲しむと思ってるの。」


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「だから、挨拶だけにしときな。」


 


Tは絶句した。ショックを受けていたようだ。


「先輩、俺、今日、飯は要らないス。」


と言ってTは食券をボクにくれた。


 


その後ボクは、事務部長の机を蹴飛ばしたので飛ばされる先もなく早期退職となった。


 


 


Tと美少女がどうなったのかボクには分からない。