梶原一騎・永島慎二・斎藤ゆずる
〇半世紀前、少年漫画界を「スポ根物」で席捲した伝説の原作者梶原一騎の作品群「巨人の星」、「あしたのジョー」、「タイガーマスク」、「空手バカ一代」等などの中にあって唯一未完に終わった青春柔道巨編。
〇立ちはだかるライバルの柔道家、プロレスラー、キックボクサー、空手家、喧嘩師たちを次々と打ち負かす異種格闘技風テイスト満載の展開は文豪富田常雄(父は講道館四天王の富田常次郎)の小説「姿三四郎」を彷彿とさせます。
〇1964年の東京オリンピック柔道無差別級においてオランダのヘーシンクに日本柔道が敗れて以来、柔道人口は衰退の一途をたどっていました。
〇週刊少年キング連載の本作品「柔道一直線」と桜木健一さん主演のテレビドラマ「柔道一直線」によって青少年の柔道人口が劇的に回復したとして講道館は梶原一騎さんに感謝状を贈呈しています。
〇困難に立ち向かう主人公の熱血柔道少年一条直也に共感する柔道少年の多かったこと。稀代の柔道家小川直也選手の名前は本作品の主人公に因んだとされています。
本作品を読んだあと、
「名作漫画を読まない人生は幸せな人生とは言えない。」と言う漫画評論家の言葉を思い出しました。
●「柔道一直線」のTVドラマで有名な近藤正臣さん演じる「桜ヶ丘の白鳥」とあだ名される柔道選手結城真吾の「足の指でピアノを弾く」シーンは残念な事に漫画の方にはありません。