ボクは三桁の加減乗除の計算が苦手だ。筆算のことである。そろばんや電卓では何も問題ない。
だから小学校の時の算数は2であった。筆算が困難、できない、なぜそうなるのかわからない。
多分そういう病気だと思う。それでよくもまあ40年近くも金融機関勤めができたものだと思う。
困ったのは企業分析の連結決算の時だった。
通常、損益や利益を親子企業の規模で案分して求めるがその計算が遅い。
だから徹夜や持ち帰り残業がしょっちゅうであった。現在は情報漏洩にあたるので禁止行為だが、
そういうことをしていた。
計算が早くなるように努力してもどうにもならないので、徹夜しても翌日に響かないように体力養成に
務めた。
そうして定年退職したが退職記念の食事会でかつての上司の頭取がボクに言った。
「簿記や会計のできない銀行員は珍しかった。昇進や昇給の推薦を書こうとしてもその点が引っかかってどうしようもなかった。」
出世せず銀行員としては名も財も残せなかったが健康で長生きできているだけでもありがたいと思っている。