まんが道(7) (中公文庫コミック版) [ 藤子不二雄A ]
まんが道(7) (中公文庫コミック版) [ 藤子不二雄A ] 40年近く前に刊行されたもので大作で全4200ページ近くもありますが特に落丁なく物語を読むのに支障はありませんでした。 漫画の神様手塚治虫さんに憧れた藤子不二雄さんの幼少期から漫画家として世に出るまでの自伝漫画。 神様手塚治虫さんの底抜けの優しさと、超一流プロとしての凄み、戦後児童漫画の革命児としてのプライドがひしひしと伝わります。また本人談として「医者の端くれとして健康に留意している」 という言葉が出てきます。のちの世の「ブラック企業」どころでない当時の漫画家の悲惨な労働条件をかいまみることもできます。

また、トキワ荘、新漫画党のリーダーとしての寺田ヒロオさんも作品中にたびたび登場します。 「スポーツマン金太郎」、「暗闇五段」の大人気連載終了後、悲劇的なフェイドアウトをしたとも言われています。 高卒後ノンプロでピッチャーを経験後漫画家に転身したエピソードも少し語られており、寺田ヒロオさんのファンにありがたい作品です。
暗闇五段〔完全版〕【上】
寺田ヒロオ
パンローリング株式会社
2015-06-01


若き天才漫画家石ノ森章太郎さんや、三島由紀夫氏が認めたギャグ漫画の王様赤塚不二夫さん、東京出身のアドバンテージを持ってトキワ荘に参加したつのだじろうさん等の若き日が描かれています。

また、さいとうたかさんそっくりの人物が時々現れて二人(藤子不二雄)に大阪弁でハッパをかけますが、劇画を児童漫画家グループからどう見ていたかという様子が偲ばれます。



優れた自伝漫画作品であり、人生の指南書であると言えましょう。