1970年代の初めころよりプロレスファンがものすごく饒舌に変化していったことがある。プロレス雑誌を二誌とプロレス新聞を二紙購読してしたが、一般のプロレスファンがひどく理論武装するようになった。非力で腕力に自信のない学生が口先でペラペラ言ってけんかの強い体育会系男子を煙に巻くというのによく似ている。
プロレスにいろんな見方があると言い出したのは村松友視だったが「私、プロレスの味方です」が出版されたのが1980年であるからファンがプロレスを言葉であれこれ解説してみせると言うのは、村松さんが本を出したころにはもう世間一般のプロレスファンの「あれこれ理屈を言い合ってプロレスを楽しむ」という風潮はごく当たり前のことだったのだろう。