その会社は代表者の人柄が良く従業員もフレンドリーであった。
駆け出しのころの自分が担当していたが、社長が病気で亡くなったのと同時に会社も倒産状態となった。会社も社長も破滅に向かっていたのに社長は表情にも出さず従業員とも良好な関係であった。
当社の業況が悪いことは知っていたが長期資金を融資した。
物的担保に評価余裕額がなく保証協会の保証限度額も限度に達していたため、第三者個人の人的保証をしてもらうことにした。
連帯保証人として社長が指名した人物に指定された喫茶店に向かった。挨拶もそこそこに保証内容について説明し保証意思の確認を終えた。「これで保証人さんの面接は終わりです。」と相手に告げると保証人は憮然とした顔でものも言わず喫茶店から出て行った。自分の飲んだコーヒー代も支払わずに。
翌日社長にあったので問うてみた。
「口には出さなかったけれど彼は保証人になりたくなかったのでは?」
否定する社長。
「十年来の友人だし、私には喜んで保証人になるといってくれた。」
私は昨晩のことを社長に話した。
「でも彼は保証人確認の面接後、怒ったような顔でものも言わずコーヒー代も払わずに出て行きましたよ。」
「えっ!?」
社長は驚き絶句した。それから悲しそうな顔をした。紙入れから千円札を取り出して私に握らせた。「すまない。コーヒー代として取ってくれ。」
「多すぎますよ。」お釣りを出す私を制して社長は「ごめんな。」と呟くように私に言った。
一か月ほど経過した後に突然社長が亡くなった。当座預金は資金不足で二度の不渡りを出し会社は倒産した。
社長も社員たちもフレンドリーで会社の雰囲気も良かった。社長がお元気であったら会社の業況も回復していたのに違いないのに。そう思えて残念でならない。
駆け出しのころの自分が担当していたが、社長が病気で亡くなったのと同時に会社も倒産状態となった。会社も社長も破滅に向かっていたのに社長は表情にも出さず従業員とも良好な関係であった。
当社の業況が悪いことは知っていたが長期資金を融資した。
物的担保に評価余裕額がなく保証協会の保証限度額も限度に達していたため、第三者個人の人的保証をしてもらうことにした。
連帯保証人として社長が指名した人物に指定された喫茶店に向かった。挨拶もそこそこに保証内容について説明し保証意思の確認を終えた。「これで保証人さんの面接は終わりです。」と相手に告げると保証人は憮然とした顔でものも言わず喫茶店から出て行った。自分の飲んだコーヒー代も支払わずに。
翌日社長にあったので問うてみた。
「口には出さなかったけれど彼は保証人になりたくなかったのでは?」
否定する社長。
「十年来の友人だし、私には喜んで保証人になるといってくれた。」
私は昨晩のことを社長に話した。
「でも彼は保証人確認の面接後、怒ったような顔でものも言わずコーヒー代も払わずに出て行きましたよ。」
「えっ!?」
社長は驚き絶句した。それから悲しそうな顔をした。紙入れから千円札を取り出して私に握らせた。「すまない。コーヒー代として取ってくれ。」
「多すぎますよ。」お釣りを出す私を制して社長は「ごめんな。」と呟くように私に言った。
一か月ほど経過した後に突然社長が亡くなった。当座預金は資金不足で二度の不渡りを出し会社は倒産した。
社長も社員たちもフレンドリーで会社の雰囲気も良かった。社長がお元気であったら会社の業況も回復していたのに違いないのに。そう思えて残念でならない。