世相・事件
サラリーマンが退職するとたいてい年末調整を受けていないため税金の過払い状態となる。退職後開業して開始決算して確定申告して初めて自分の過払いに気づく。
しかし、たいていのサラリーマンOBはそれに気づかない。税務署も積極的に教えない。
銀行員時代に顧客に頼まれて税務署に直接納付書と現金を預かって持って行ったことがある。
納税は納税者と税務署の間の問題で直接その客が自分でで税務署に出向けばよいのに当時は新米で客の言うがままに従っていた。
税務署に着いたのが夕方の五時五分過ぎだった。窓口にまだ職員がいたのでおそるおそる来意を告げると、意外にも当日の日付で収納印をくれた。
さすが税務署。徴収の方はキチンと抜け目なくやるのだ。
一方で、過払いですから申告すれば税金の還付を受けられますよ等と余計なことは言わない。
常々、モットーにしているのは、
①本物を売る
②代金の支払がされたら品物を即発送する
③丁寧な対応とコメントに勤める
の三点である。
しかし、時として頭にくることがある。
いたずらで購入のふりをする人
独りよがりで意思の疎通のできない人、、、、、である。
ネットの売買契約の相手は顔も名前も素性も分からない。
勿論相手も私の事を知らない。
なら、smoothに取引が終了することが一番大事だと思う。
で、ほとんどの人がそう願ってそういうコメントを書いている。
にもかかわらず、気まぐれで購入の意思表示をした後、音信不通になる人がいる。
当初買うつもりだったが、気が変わった。
そういう事は当然起こりうることで別段構わない。
構わないけれど、そのことについて相手にきちんと説明して欲しい。
謝らなくてもいいから連絡して欲しい。そうでないと周りの人が迷惑する。
私だけでなく、本来その商品が欲しかった次点の人も次々点の人たちも迷惑する。
買う気のない人は速やかに周りに知らせて身を引いて欲しい。
大したことではないけど、最近そういう人が増えてきた。困っている。
芸能人崩れのバカ代議士がまたやっちまっていた。社会保険料750万円の滞納だ。国民の義務を果たしてないやつが比例代表とは言え代議士になっていいのか?政党もちゃんと調べてから立候補させろ!
釈明会見では自分の年金保険料なのに掛けたかどうか分からないと語った。自分のやったことすら分からないんなら国政なんか任せられない。議員なんか辞めちまえ。
嘘は言いません。うそは歌だけです等と数少ない自分の持ち歌に引っ掛けて何のつもりか笑えん冗談で締めくくった。バカか⁉
釈明会見では自分の年金保険料なのに掛けたかどうか分からないと語った。自分のやったことすら分からないんなら国政なんか任せられない。議員なんか辞めちまえ。
嘘は言いません。うそは歌だけです等と数少ない自分の持ち歌に引っ掛けて何のつもりか笑えん冗談で締めくくった。バカか⁉
22歳から60歳になるまでの銀行員生活の中で同じ支店に二回勤務すると言う事があった。
大半の銀行員は支店勤務で特に優秀な人でない限り本部勤務になることはない。在勤中3、4年に一度の割合で地方を転々と移動して回る。これはキツイ。慣れたころに転勤とはよく言われることである。考えてみると、いくら仕事の内容は同じと言っても顧客の顔ぶれが変わったり、営業行員だと勤務するエリアの道を覚えるだけでも大変な苦労である。
その点、この同じ支店に二回目の辞令をもらった時はうれしかった。前回同様、外回りの営業担当になった。営業担当は毎月厳しいノルマを課せられるので既存の取引先を知っているだけでもありがたい。どこの顧客が大口預金先でどこの法人が融資を受けたがっているか、記憶しているから、既往取引先を回るだけでノルマは達成できる。後は新規先を開拓してどれだけ資金量(預金額)、融資量(貸出額)を伸ばせるかでずいぶん成績を伸ばせる。
その二回目の支店勤務で赴任早々、店頭で旧知の個人事業主に会った。彼は人懐っこい笑顔を見せて私に近づいて来て言った。
「おかえりなさい。また、この支店勤務になられたのですね。ご栄進おめでとうございます。また、融資などでお世話になります。」
正直、栄進した訳ではなかったのだがお世辞でもうれしかった。そしてこんなに暖かい声をかけてくれたのは彼だけであった。
「今はこういう仕事をしています。」
彼は或る社会福祉法人の理事長の肩書の名刺を私に手渡した。その日は挨拶だけで別れたが、後日訪問して預金か貸付の協力をお願いをするつもりであった。
赴任して三ケ月経過したが私のノルマ消化は順調であった。と言うよりは絶好調で成績を伸ばした。何しろ二回目の支店勤務と言うのは小学生が同じ問題の算数の試験を二回受けるようなものである。
答えの分かった試験問題で赤点を取る子はいない。
四か月目に入って一週間経過してその月のノルマは達成していたので余裕ができていた。例の社会福祉法人へ行き理事長に面会を申し出た。受付嬢は何か怖いものを見るような目つきで私を見、上司に替わった。
「どういう御用件ですか?」
まるで木を花で括るようなつっけんどんな態度で総務課長と言う人物が言った。
「あの人は名前だけの理事長で法人の名を語りあちこちで詐欺まがいのことをしているし、近々理事会で退任勧告する予定なんです。お宅の銀行も何か被害にあったのですか?そうだとしても当法人とは無関係ですから。お引き取り下さい。」
総務課長はとんでもないことを言った。私は呆れたがそのまま退出し、理事長氏とは音信不通のまま、赴任五か月目を迎えた。ノルマの面ではラッキーが続き時間的にも余裕があった。すると支店長から一日だけ融資課長のフォローををしてやってくれと頼まれた。仕事の内容は支店で抱える不良債務者への訴訟案件で本日結審するのがあるから聞いて来てくれと言うものだった。
簡単な仕事だったので私は時間前に行き問題の訴訟事件の前の案件を傍聴席で見学した。席に座ってみているとやがて事件の被告人が呼ばれた。ある売買契約についての詐欺事件で被告人が事実関係をすべて認めたので本日判決を言い渡されるのであった。
被告人が席についた。顔を見て私は思わず声が出そうになった。なんと被告はあの社会福祉法人の理事長だった。私はかの社会福祉法人の総務課長の言葉を思い出した。
「あの人は法人の名を語りあちこちで詐欺まがいのことをしている。お宅の銀行も何か被害にあったのですか?」
茫然としていた私は数分後に自分が仕事で来た事件の開廷が始まるので気を取り直して何とか落ち着いた。
裁判所の帰り道思った。大半の顧客は二回目の勤務の私になんら関心も好意も持たない。友人でも何でもないのだから当たり前だ。一人だけ笑顔でお帰りなさいと優しい言葉で近づいて来た男がいたがあれは詐欺師の常套手段の初めの一歩であったのだ。
ふとしたことから詐欺師の正体を知ることができて幸運だった。
大半の銀行員は支店勤務で特に優秀な人でない限り本部勤務になることはない。在勤中3、4年に一度の割合で地方を転々と移動して回る。これはキツイ。慣れたころに転勤とはよく言われることである。考えてみると、いくら仕事の内容は同じと言っても顧客の顔ぶれが変わったり、営業行員だと勤務するエリアの道を覚えるだけでも大変な苦労である。
その点、この同じ支店に二回目の辞令をもらった時はうれしかった。前回同様、外回りの営業担当になった。営業担当は毎月厳しいノルマを課せられるので既存の取引先を知っているだけでもありがたい。どこの顧客が大口預金先でどこの法人が融資を受けたがっているか、記憶しているから、既往取引先を回るだけでノルマは達成できる。後は新規先を開拓してどれだけ資金量(預金額)、融資量(貸出額)を伸ばせるかでずいぶん成績を伸ばせる。
その二回目の支店勤務で赴任早々、店頭で旧知の個人事業主に会った。彼は人懐っこい笑顔を見せて私に近づいて来て言った。
「おかえりなさい。また、この支店勤務になられたのですね。ご栄進おめでとうございます。また、融資などでお世話になります。」
正直、栄進した訳ではなかったのだがお世辞でもうれしかった。そしてこんなに暖かい声をかけてくれたのは彼だけであった。
「今はこういう仕事をしています。」
彼は或る社会福祉法人の理事長の肩書の名刺を私に手渡した。その日は挨拶だけで別れたが、後日訪問して預金か貸付の協力をお願いをするつもりであった。
赴任して三ケ月経過したが私のノルマ消化は順調であった。と言うよりは絶好調で成績を伸ばした。何しろ二回目の支店勤務と言うのは小学生が同じ問題の算数の試験を二回受けるようなものである。
答えの分かった試験問題で赤点を取る子はいない。
四か月目に入って一週間経過してその月のノルマは達成していたので余裕ができていた。例の社会福祉法人へ行き理事長に面会を申し出た。受付嬢は何か怖いものを見るような目つきで私を見、上司に替わった。
「どういう御用件ですか?」
まるで木を花で括るようなつっけんどんな態度で総務課長と言う人物が言った。
「あの人は名前だけの理事長で法人の名を語りあちこちで詐欺まがいのことをしているし、近々理事会で退任勧告する予定なんです。お宅の銀行も何か被害にあったのですか?そうだとしても当法人とは無関係ですから。お引き取り下さい。」
総務課長はとんでもないことを言った。私は呆れたがそのまま退出し、理事長氏とは音信不通のまま、赴任五か月目を迎えた。ノルマの面ではラッキーが続き時間的にも余裕があった。すると支店長から一日だけ融資課長のフォローををしてやってくれと頼まれた。仕事の内容は支店で抱える不良債務者への訴訟案件で本日結審するのがあるから聞いて来てくれと言うものだった。
簡単な仕事だったので私は時間前に行き問題の訴訟事件の前の案件を傍聴席で見学した。席に座ってみているとやがて事件の被告人が呼ばれた。ある売買契約についての詐欺事件で被告人が事実関係をすべて認めたので本日判決を言い渡されるのであった。
被告人が席についた。顔を見て私は思わず声が出そうになった。なんと被告はあの社会福祉法人の理事長だった。私はかの社会福祉法人の総務課長の言葉を思い出した。
「あの人は法人の名を語りあちこちで詐欺まがいのことをしている。お宅の銀行も何か被害にあったのですか?」
茫然としていた私は数分後に自分が仕事で来た事件の開廷が始まるので気を取り直して何とか落ち着いた。
裁判所の帰り道思った。大半の顧客は二回目の勤務の私になんら関心も好意も持たない。友人でも何でもないのだから当たり前だ。一人だけ笑顔でお帰りなさいと優しい言葉で近づいて来た男がいたがあれは詐欺師の常套手段の初めの一歩であったのだ。
ふとしたことから詐欺師の正体を知ることができて幸運だった。
ボクがまだ銀行員だった時のことだ。ある倒産事件を思い出して胸が痛くなることがある。
通常、銀行員が倒産の現場に出向いたところで得るものは何もない。苛立った債権者の群れに混じっても、ろくな目にあわない。銀行員は場馴れしていないため、黙っていても必ず周りに正体が知られてしまう。
そして、素人債権者や下請け、従業員たちに囲まれて社長の個人預金はわしらの未払い代金として現金で持って来いと怒鳴られたりすることがある。
たとえ銀行に倒産企業の口座が残っていて、何十万円かの預金があったとしても、何千倍かの回収できない貸出金があるとすれば、銀行こそが不幸な最大の債権者だと言う考え方は否定されなくても良いはずだ。
正式の債権者集会でさえ、銀行だけが一番や二番の上位に抵当権を付けて、借り手が倒産するとすぐ差し押さえ競売を申し立て、涼しい顔して貸金回収をする。そんなふうに思われている。
事実、ボクも銀行員時代は罵声を浴びせられたこともある。しかし、これは見当違いの八つ当りもいいところだ。一般債権者が妬むほどのガチガチの保全主義は、そうでもしなければ、他には何ら強力な貸出金の回収手段やノウハウを持たない銀行にとっては無理からぬことなのである。
では、何ら「担保」「保証」を持たない「信用貸出」の先が倒産したら、銀行はどうやって債権回収をするのだろうか。
「バルク・セル」と言って債権買い取り会社に債権残高に比して、ほとんど二束三文に近い値段で「叩き売り」するのである。
だから、臆病な銀行にとって、信用貸付はレア・ケースである。経営者の人柄や企業の将来を信じて担保も保証人も付けずに貸し出すことはほとんどあり得ない。
しかし、ボクはかつて、例外的に一部上場家電会社の部品製造下請け会社に対して1億円の短期融資案件を実行したことがある。ところが、1億円の融資時点ではN社の資金繰りは破綻していたのだ。
1回目の不渡りを知ったボクは、N社を訪問した。すると既に事務所は債権者で溢れ返っていた。反社会的勢力とおぼしき連中に両側を固められたN社の社長が、社屋から玄関前に停車された黒い大型車に乗せられようとしていた。
社長と目が合ったので、思わず「社長! ギブアップするの?」とボクが問いかけると、反社の若い衆が「こら! 何じゃ、われ! 帰れ!」と恫喝してきた。そしてそのまま社長を乗せた反社の車は走り去った。
未回収確定の1億円の貸出金、自分に対する懲罰処分、そんな些末な不安より、N社の社長に裏切られたと言う感情がボクを責め苛んだ。
社長が連れ去られた後、N社の駐車場に集まった債権者に向かって呼び掛ける怪しげな事件屋の声がいつまでも響いていた。
「債権買うよ~。手持ちの請求書だけでもいいよ。債権額の5%から10分の1で!」
倒産の現場には、債権者と債務者、そして怒りと悲しみしかない。
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