銀行

銀行の話 〈企業倒産の現場〉




ボクがまだ銀行員だった時のことだ。ある倒産事件を思い出して胸が痛くなることがある。

通常、銀行員が倒産の現場に出向いたところで得るものは何もない。苛立った債権者の群れに混じっても、ろくな目にあわない。銀行員は場馴れしていないため、黙っていても必ず周りに正体が知られてしまう。

そして、素人債権者や下請け、従業員たちに囲まれて社長の個人預金はわしらの未払い代金として現金で持って来いと怒鳴られたりすることがある。

たとえ銀行に倒産企業の口座が残っていて、何十万円かの預金があったとしても、何千倍かの回収できない貸出金があるとすれば、銀行こそが不幸な最大の債権者だと言う考え方は否定されなくても良いはずだ。

正式の債権者集会でさえ、銀行だけが一番や二番の上位に抵当権を付けて、借り手が倒産するとすぐ差し押さえ競売を申し立て、涼しい顔して貸金回収をする。そんなふうに思われている。

事実、ボクも銀行員時代は罵声を浴びせられたこともある。しかし、これは見当違いの八つ当りもいいところだ。一般債権者が妬むほどのガチガチの保全主義は、そうでもしなければ、他には何ら強力な貸出金の回収手段やノウハウを持たない銀行にとっては無理からぬことなのである。

では、何ら「担保」「保証」を持たない「信用貸出」の先が倒産したら、銀行はどうやって債権回収をするのだろうか。

「バルク・セル」と言って債権買い取り会社に債権残高に比して、ほとんど二束三文に近い値段で「叩き売り」するのである。

だから、臆病な銀行にとって、信用貸付はレア・ケースである。経営者の人柄や企業の将来を信じて担保も保証人も付けずに貸し出すことはほとんどあり得ない。

しかし、ボクはかつて、例外的に一部上場家電会社の部品製造下請け会社に対して1億円の短期融資案件を実行したことがある。ところが、1億円の融資時点ではN社の資金繰りは破綻していたのだ。

1回目の不渡りを知ったボクは、N社を訪問した。すると既に事務所は債権者で溢れ返っていた。反社会的勢力とおぼしき連中に両側を固められたN社の社長が、社屋から玄関前に停車された黒い大型車に乗せられようとしていた。

社長と目が合ったので、思わず「社長! ギブアップするの?」とボクが問いかけると、反社の若い衆が「こら! 何じゃ、われ! 帰れ!」と恫喝してきた。そしてそのまま社長を乗せた反社の車は走り去った。

未回収確定の1億円の貸出金、自分に対する懲罰処分、そんな些末な不安より、N社の社長に裏切られたと言う感情がボクを責め苛んだ。

社長が連れ去られた後、N社の駐車場に集まった債権者に向かって呼び掛ける怪しげな事件屋の声がいつまでも響いていた。

「債権買うよ~。手持ちの請求書だけでもいいよ。債権額の5%から10分の1で!」

倒産の現場には、債権者と債務者、そして怒りと悲しみしかない。

無給医のニュースで気の毒な医師夫婦を思い出した


【以下はネットニュースからのコピー】
無給医。有給ポストが限られるため、教育を受ける身として研鑽中のためと、様々な背景により存在しています。(NHKニュースでも「大学病院の“無給医”“ただ働き”の実態」として放送)。


☆        ☆
医業界にこんなバカな風習があるから医は算術みたいな愚か者が医者の中にいるのだ。

ボクが銀行で病院担当をしていた頃の話だ。開業医の性格の悪い夫婦の医師がいた。男の方はボーッとして診療技術の方も?と患者間でうわさされていた。女の方は金に汚く他人を見下すようなところがあった。この女の頭には一種カースト制度のような発想があり、製薬会社のセールスマンが最も下にいて、次が銀行や出入りの営業マン、その上がお客さん(患者の事。この女は陰で本当にそう呼んでいた。)、最上位が医師であった。

医者がこの女の発想する身分制度の頂点なのだが、その中にもランクがあったようだ。理由は不明だが歯科医が底辺で、その上が美容整形外科、外科、内科の順番で身分が高いらしい。ちなみにこの夫婦は呼吸器内科だった。その割には二人とも酸欠状態の金魚みたくいつもアップアップしていた。精神的に余裕がなく、いつも身分の低いボクらを罵倒していた。

通帳を見るのが楽しみでボクを足代わりに呼びつけては診療報酬の振込入金される口座の通帳の記帳をさせた。
診療報酬を「水揚げ」と呼び、現金収入を「日銭」、患者を「お客さん」、ボクらを「銀行屋」と、蔑んだ。その病院で知り合った製薬会社の営業マンが嘆いていた言葉を思い出す。

「院長が電話ですぐ来いというから10時に来たのに診察中と待たされ、昼休みだ昼寝だと延ばし伸ばしにされ、夫人に抗議したら『うっとおしい!』と怒鳴られて会社に担当者を変えろと電話されました。」

ボクも同じ目にあわされたことがあった。理由は言葉遣いが悪いというものだった。女医を「奥さん」と読んだら「女医先生」と呼べと言われた。

夫婦のきげんの良い時には結構話し込んだりしたが、自分たちの苦労話と自慢話ばかりであった。その話の中で「僕たちは人生の前半で仕事の対価に見合う報酬を得てないのでこれからは金儲けをしたい。」という発言があった。


先日その病院のあった町に行ったが病院は跡形もなく消えていた。広大な病院の跡地はコンビニと駐車場に変わっていた。コンビニに入って店員さんに病院の事を訊ねたら「潰れましたよ。」と教えてくれた。気の毒な医者夫婦ではある。
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銀行の話・白い美少女


ボクの銀行勤務のオーラスは事務センターというところだった。十階建てのビルの三階が仕事場だったが8時~5時の残業一切なしの恵まれた「飼い殺し」職場であった。


 


僕のいた三階は一日中赤ペン持って、書類のチェックをするところだった。ここへ配属されてからノイローゼになったのもいるし、ここへ来る前に営業店では使い物にならなくなって飛ばされて来た者もずいぶんいた。


心因性の病で心療内科へ通院する者、営業店で不祥事を働いた者、傷害事件を起こした者、ハレンチ行為をした者、不倫が発覚して騒ぎを起こした者など等、現在だったら


懲戒解雇されて当然のような素晴らしいキャリアの銀行員たちの、言わば、吹き溜まりであった。


かく言うボクは、たった一回支店長の机を蹴飛ばして「あんたはバカか⁉」と言っただけである。ここに飛ばされた理由がわからん(今思えば、十分適格者だ。)と思った。


 


事務部であるから、書類、電算システム関係、検査関係、手形小切手の集中センター、それから硬貨の袋詰めなどもこのビルの中でやっていた。


最上階に食堂があった。


ここだけが唯一銀行の設備らしい雰囲気があった。それと男女比率が7対3で女性が多かった。


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昼飯時は他の部門の女性と同席して食事を取ることがあった。


夏でも黒っぽいのスウェットパーカーを着ている美少女がいた。冬はパーカー付きの黒のブルゾンを着ていた。実際は二十代後半らしいがボクには少女のように見えた。夏も冬もパーカーのフード部分で顔を覆うようにして一人で行動していた。他の女性行員は制服だったが美少女だけはパーカーを着ていた。


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陰気かというと、全然そんなことはなく、挨拶を明るい声で返してくれた。ちょっと見ただけだが肌が白くて目鼻立ち整って人形のような美少女であった。


 


ボクは後輩のTといつも食堂に行ったが、ほとんどパーカーの美少女と同じ時刻の事が多かった。Tはたちまち、パーカーの美少女に惚れ込んだ。Tは場の空気が読めず、営業店では上司同僚から相手にされず、得意先からもTに対しての苦情が頻発し、ここに来た。


 


そのTが美少女に告白するという日になって社員食堂のおばちゃんがTに言った。


 


「あんた、あの子を好きなのはよく分かるけど告白するのはやめな。」


Tが驚くとおばちゃんは話し出した。


 


「あの子は紫外線がだめなんだよ。夏も冬も黒い頭巾のついた服着てズボン履いてるだろ。光線に当たると体調不良になるんだよ。それであの格好してるの。警察にもたびたび職務質問されるって。かわいそうだろ。あの子は恋愛も結婚もとっくに諦めてるのさ。結婚して自分と同じ体質の子が生まれたらかわいそうだって。友達も作らない。自分と仲良くしてもらっても、突然自分が入院したら周りは悲しむと思ってるの。」


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「だから、挨拶だけにしときな。」


 


Tは絶句した。ショックを受けていたようだ。


「先輩、俺、今日、飯は要らないス。」


と言ってTは食券をボクにくれた。


 


その後ボクは、事務部長の机を蹴飛ばしたので飛ばされる先もなく早期退職となった。


 


 


Tと美少女がどうなったのかボクには分からない。


大漫画家が組んだ住宅ローンの話からインタビューはドンドン脱線していく



プロの技全公開!まんが家入門 (入門百科+)

 

いやあ。昨日は、いいお話をありがとう。

貴君の師匠A先生の言葉が暖かくて胸を打つ。うれしい。思い出話でもそういう記憶のある君は幸せだと思います。
 
当時、同学年の法学部の学生が日本全国何十万人いたか知らないけれど、自作の原稿を、当時の青年誌の作家さんとは言え、日本中で知らない人はいない大漫画家A先生に見てもらいに行けたという幸運と度胸の良さ。
 
すごいことです。この辺、感動して自分で何を言っているかわからないが、雰囲気だけ感じ取ってください。   
 
 
 
法曹の道に進まない大多数の法学士が月給取りになっていくのに対して自分の夢をかなえるために進んだ貴君をうらやましく、また誇りに思います。
 
田舎へ帰った時には、わしは大学の同級生で漫画家がおるとか言って自慢する。
(この辺も自分で意味わからない興奮状態。) 
 
 
 
そして、住宅ローンを借り入れたことも素晴らしいと思う。ボクは自身で勤務先の銀行の住宅ローンの審査に一度落ちている。

 

図解 大蔵省金融企画局・金融監督庁―金融制度・法案起草から金融検査・監督・告発のすべて

 
銀行では融資を受けている顧客全員の査定をする。
当時の二年に一度の大蔵省検査に備えて、債務者(借入している顧客)を、評価の良い方から五段階に分類する。( 大蔵の来ない年には日銀が二年に一度のペースで来ていた。対象は全国の銀行の中から適当に。 )
 
①正常先②要注意先③破綻懸念先④実質破綻先⑤破綻先という具合。
 
このうちまともな客は①のみで、②から④へと段階的に倒産、破産が近い先となり、⑤は法的に完全なアウトの先です。
 
 
 
当時、本部の融資検査役某からボクに電話があり、
 
「この債務者は②じゃなく④じゃないか?」
 
と言われ、
 
「債務者名は誰ですか?」
 
と尋ねたら、
 
「磯野浪平」
 
とボクの名前を言われ、
 
「それ俺じゃないすか?そのラインシート( 大蔵省の役人が見る資料のこと①とか②とか⑤とか判定が書かれている。)を作ったのは中島( 後輩の名前 )です。俺は債務者本人だから。」
 
と言ってやった。
 
 
本部の奴は、わしに言わずに査定したボクの後輩中島に電話で、
 
「これは査定が甘いだろ!」
 
と指摘すべきところ、直接ボクに電話してきたのだった。寝ぼけてんのか。
 
 
 
まあ、それは収入が少ないのに過大な住宅ローンを組んだボクが悪いんですが、
 
貴君は、自由業、漫画家をしながら、住宅ローンを組んだのは担当した銀行員も力があったと思うが、
 
相当な資力、返済能力がなければ借入できないから。
この点も漫画家としては成功者だとボクは感心しています。
 
 
④実質破綻先のことを銀行の馬鹿どもは省略して『実破(ジッパ)』 と呼んでいた。
ボクは、同じ勤務先の行員から「ジッパ」と呼ばれたただ一人の男です。
 

住宅ローンのしあわせな借り方、返し方

 

 
別に破綻はしていないので銀行は僕には
 
「まじめに働いて返済しろよ。」
 
というスタンスです。本部の言うことに過敏に反応する必要はなかったわけです。
 

 

 

半沢直樹 5(第8話~第9話) [レンタル落ち]

しかし、この本部の融資検査役某はその後、事件を起こして処分されました。使い込みではないのですが、貧乏が生んだ悲劇です。その事件については次回、報告します。
 
(大漫画家の資力、返済能力の話は、もう終わりかい!?)すみません、文章力がないので全然まとまらなかった。
 
乞うご期待!ではなく、あまり期待せずに次回を待たれよ。

 

 

〈 銀行の支店長 〉 ドラマでもリアルでも悪代官みたいな支店長がほとんどだが、稀に尊敬できる人もいる。


 

 

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日本テレビ系「花咲舞が黙ってない」の第九話「消えた約束手形一千万円の話」を見た。

あれ? 似たような話が?・・・と、ついつい思い出すのは、以前、ボクが書いた「<星の降る町で100万円の手形をなくした話> 。これとプロットは一緒だと思った。

さて、「花咲舞」だ。ストーリーは途中から男女の話になって行くので別の話と気づく。

実は、手形をテーマにした映画や小説は意外と多い。手形法や手形交換所規則等、たくさんの約束事を知らないと扱いにくいし、思わぬ権利の落とし穴に入って、正当の権利者が権利を行使できない点はなかなか理解しにくい。また、手形事件ドラマには複数の関係者(振出人、支払人、受取人、割引人、非合法だがサルベージ屋、パクり屋、等々)が登場する。

そして、登場人物たちが、丁々発止、有りったけの知力、能力を駆使して手形の権利を争う。

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古くは高木彬光の「白昼の死角」が出色の長編小説だ。「手形と簿記は人類が作った最も美しい経済上の作品」とゲーテが呟いたのもわかる。

今回のヒール(悪役)は東京第一銀行三鷹支店長・野口を演じた俳優の佐戸井けん太さんだ。

わざと「佐戸井けん太さん」と言わないとこの俳優に騙されそうだ。リアルに、三鷹地方銀行に行くとこんな嫌な支店長がいて部下を虐めているに違いないと錯覚する。

大事件発生にも関わらず、対策はそっちのけ、自己保身と責任転嫁に終始。「お言葉を返すようですが!」と舞の怒りは爆発する。現実にはこの手の管理者がほとんどだから、佐戸井さんの演技は完璧である。

拙稿「<星の降る町で100万円の手形をなくした話>は事実なのだが、あの事件を解決した青年支店長は部下を一度も叱責しなかった。ひたすら、事件解決にのみ全人格、全能力を注力した。後年、ボクが尋ねると、既にその地銀の役員になっていた彼はこう言った。

 「早く解決してお客と部下を安心させたい。それしか頭に無かった。」

ドラマでもリアルでも悪代官みたいな支店長がほとんどだが、稀には尊敬できる支店長もいる

ボクが見た一億円の不動産詐欺事件



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江戸時代天領だったある地方は、広大な農地に比して小作農が少なかったことから、明治以降に現れた大地主たちはそのまま、戦後の農地解放の時代をも、生き残り現在まで残った。

ボクは銀行員時代にその地主の1人に1億円の短期貸し付けを実行したことがある。 彼の名を仮にAさんとする。Aさんはお人好しで、酒好きで、普段はボクのような銀行員にも親切で紳士的に振舞う好々爺だった。

3か月間の短期手形で貸し付け、返済源は土地売却代金。年収は不動産賃貸料が年間3000万円。資金の使途は過去の借金の肩代わりだった。過去の借金とは、マンション建設資金の残金や遊興費であり、あまり感心した話ではないが「大地主の末裔にありがちなタイプ」としてためらうことなく融資に応じた。

事件は3か月後に起きた。返済期日に1億円の返済は叶わなかった。筆者は止む無く手形の書き換えを提案した。返済期限をもう3か月延長した。その上で1億円の返済源である土地売却取引が無くなった理由を訊ねた。Aさんの説明は以下の通りであった。

 

3か月前に酒場で知り合った不動産会社社長の男に紹介された人物と土地売却の話をした。相手の男はその時確かに「お宅の土地は1億円の価値がある」と語ったという。

取引の日にAさんは実印と権利書、印鑑証明書などを揃え、不動産会社事務所を訪問した。取引の前に祝いと称して酒を振舞われた。酒好きのAさんはついつい杯を重ねてしまった。良い気持ちで契約書に署名押印し、封筒に入れられた小切手と引き換えに相手の男に権利書を渡した。

酔いからさめて開封すると中から出てきたのは額面100万円の小切手だった。Aさんはすぐさま、不動産会社社長と相手に抗議したが、彼らはもとより結託していて受け付けなかった。

「Aさん。あなたはあの時土地代金100万円に同意して契約書にサインをしましたよね。私は確かに1億円の価値があると言ったが、それは造成して買い手がついての上での値段ですよ。今のあの土地は農地で100万円が適正だ。」

と取り合わない。

Aさんはその後 、準禁治産宣告を受け(現在は法律が変わり名称が変わっている)、銀行借り入れ手形は代理人弁護士の同意がなければできなくなった。半年ほどして別の所有物件を売却した金で借金を返済した。さらに1年ほど後に酒が原因で帰らぬ人となった。

Aさんが詐欺に遭い失った土地であるが、該当地番の土地が銀行の担保として数年後に提示された。すでにAさんと現在の所有者の間には数回の所有権移転がなされており、Aさんの土地を詐取した詐欺犯人とは全く関係のない善意の第三者の所有物件となっていた。

ボクは詐欺師たちに財産を奪われ、酒と心労で命を奪われたAさんを気の毒に思った。また、他人の財産と命を奪った悪党に対して強い怒りを覚えた。しかし、すべて後の祭りだ。

詐欺からAさんを救えなかったことはボクにとって長く心の傷となった。ひょっとするとAさんの運命は最初から決まっていたのかもしれない。その生活態度、交友関係、出入りしていた酒場など、Aさんを取り巻く環境が彼を邪悪な輩の陰謀にはめられる運命に導いたのかも知れない。

 

それは、ボク如きの正義感では、到底、太刀打ちできない現実だった。現実の銀行で起きていた出来事は「ドラマより奇なり」だった。

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ブルゾンちえみによく似た銀行テラーにため口聞かれた‼


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バブル・デザインのイタリア製のセットアップスーツを知り合いから買い取ったらポケットに紙が丸められて入っていた。引っぱり出したら、なんと、それはドル紙幣だった。21ドルあった。US$は円換算で今二千円くらいか。スーツの持ち主に電話したら

 

「めんどくさいからあげるよ‼」

 

と言われた。

 


それで、銀行に両替に言ったら、ブルゾンちえみによく似たテラーが出て来て、ため口で説明された。


  「ああそう。US$を円に替えるのね。」


  「両替依頼書を書いてくれる。」


  「あ、免許証の提示は要らないから。」


ボクがこのテラーの友達なら分かるが、少なくとも客に言う言葉ではない。
で、15分くらい待たされて、今度は敬語で話しかけられた。

  「お客様、申し訳ありません。鑑定機が故障しておりまして復旧までどのくらいかかるか、分りかねますので、お待ちいただくか、日を改めるか、なさっていただけないでしょうか?」

( なんだ。散々待たせた挙句……。)

と思ったが、ボクは血管が普通の人より弱いので怒ったりしないことにしている。

  「いいよ。また、来週にするから。」

そうしたら、テラーのブルゾンちえみは、

  「お客様。少々お待ちください。」

と言ったので、なんか、ノベルティ・グッズでも持ってくるのかと思ったら、

  「どうぞ。」

と言って銀行名入りの使い捨てのホカホカカイロを二個くれた。

(なんだこいつ。)

と思ったが、ボクは、ボクの血管にまあまあと、なだめられて怒るのはやめた。

あのテラーは銀行の窓口でブルゾンちえみの物真似でもやっていた方がよっぽど愛嬌があるぞ。

( え、余計なお世話?  やっぱり。 )

銀行の老害会長に告ぐ。「こんなOB会辞めてやる‼」

〈彼〉が定年退職した某地方銀行にOB会がある。

下は60歳から上は90代までの退職銀行員の組織である。もちろんそれは親睦会以外の何物でもない。奉仕活動をするわけでも、はたまた、政治活動をするわけでもない。

そのOB会の会長から、会員、すなわち〈彼〉のような銀行のOBに宛てて封書が届いた。〈彼〉は介護の真っ最中で現役銀行員の時より現在の方が多忙であるから、親睦会のお誘いなら、真っ平御免と考えながら開封すると日銀のゼロ金利政策で皆様御承知の通り、各銀行の収益は低下致しております等と言う文章が綴られており、新聞記事の写しが同封されていた。

「エコノミスト気取りか」

と悪意に満ちた突っ込みを入れながら読み進んで行くと、

「住宅ローンご利用中のOBの方々は他行からの住宅ローンの肩代わりセールスがございましても、決して他行に切り替える事のないよう何とぞ当行にご協力いただきたい」

と書かれてあり、二度も三度も驚いたり、呆れたりした。まず、定年退職し、一時金を受け取っていてなお、住宅ローンの借入残高があり、年金から返済を続けている銀行員OBがいると言うこと。

定年まで働き続けて退職時一時金を得てもなお、完済不可能な程の住宅ローン残高と言う事は、銀行側の賃金体系に問題があるのか、それとも身の丈に合わない超豪華なマイホームを持った銀行員の側に問題があるのか。詳細は分からないがいずれにせよ身分不相応な生活を送る事のないように指導をする審査側の責任は放棄しているように思える。

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顧客の住宅ローンのアドバイスは出来ても従業員への指導は知らん顔なのかと辛くなる。個人の勝手だと言えば楽な話だが、定年後も借金に苦しむ銀行OBなどと言う話は悲し過ぎる。

また、住宅ローンの返済負担を軽減するため、例え、借り替えに少なくない費用(借り替えるには抵当権抹消設定費用や銀行の手数料、保証会社への保証料などがかかる)を負担しても取り組むことは契約上の自由であり、個人の生活をより良くしたいと願う幸福追求権を奪うものではないか。

それを何の権利があって、たかだか銀行OBの親睦会の会長ごときが「当行」などと現役の銀行員たちに類が及びかねない発言をするのかと、〈彼〉は憤慨した。

銀行OB会の会長は退職した元銀行員に過ぎない。つまり、会長のかつての勤務先は彼らにとっては「当行」ではない。つまり、こんな手紙や発言をする立場にはないのだ。あまつさえ、契約の自由や幸福権の追求をも侵す法律違反、憲法違反の疑いを会長は考慮しなかったのだろうか。


推測するにこの会長の思い上がった誤解は、いまだに自分がかつて、勤務した銀行に対して、自分が厳然たる影響力を持ち続けているのだと言う錯覚、いや妄想と言ってもいいだろうが、それらに原因している。

人間は年を取ると朦朧として若き日の自分と今の老いた自分との区別がつかなくなる。回りに及ぼす迷惑に気がつかなくなる。

こんなOB会には暇があっても行く気になれない。否、退会しよう。〈彼〉は哀しく結論した。

次に潰れるのはどの銀行だ⁉

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他例え話で、よくイギリスでは、普通銀行の行員は社会の底辺から2番目の職業と言われる。シアターの下足番より、地位が低い。

人の金を出し入れする仕事なんか、金を預かるだけで、なんの利益も与えてくれない。つまり、ブーツやコートを預かるだけと何ら変わりないというわけだ。0に近い預金利息も良くないけど。


ボクの田舎に不祥事続きの地方銀行がある。最近になっていた。やっと投資銀行として顧客貢献に目覚めたようなことを言い出した。顧客の資産運用に貢献しようと言う意識に目覚めたと言っている。
そして、営業戦略を変更した。と言うふうなことをテレビCMで言い出した。

しかし、騙されてはいけない。経営者は十五年も同一人物だし、店舗数も人員構成も商品の品揃えも変わらない。
人体に例えるなら、動脈硬化の末期症状だ。時代遅れの不適格なトップは、座して死を待つより、自ら辞して、組織の命を救うべきだ。無能なトップと無力な経営陣が交替すれば、生き残る術は、まだあるはずだ。

この銀行が投資銀行に変わる前に亡くなる可能性をボクは心配する。

 

日テレの花咲舞に登場した悪代官みたいな支店長

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日本テレビ系「花咲舞が黙ってない」の第九話「消えた約束手形一千万円の話」を見た。

あれ? 似たような話が?・・・と、ついつい思い出すのは、以前、ボクが書いた「<星の降る町で100万円の手形をなくした話> 。これとプロットは一緒だと思った。

さて、「花咲舞」だ。ストーリーは途中から男女の話になって行くので別の話と気づく。

実は、手形をテーマにした映画や小説は意外と多い。手形法や手形交換所規則等、たくさんの約束事を知らないと扱いにくいし、思わぬ権利の落とし穴に入って、正当の権利者が権利を行使できない点はなかなか理解しにくい。また、手形事件ドラマには複数の関係者(振出人、支払人、受取人、割引人、非合法だがサルベージ屋、パクり屋、等々)が登場する。

そして、登場人物たちが、丁々発止、有りったけの知力、能力を駆使して手形の権利を争う。

古くは高木彬光の「白昼の死角」が出色の長編小説だ。「手形と簿記は人類が作った最も美しい経済上の作品」とゲーテが呟いたのもわかる。

今回のヒール(悪役)は東京第一銀行三鷹支店長・野口を演じた俳優の佐戸井けん太さんだ。

わざと「佐戸井けん太さん」と言わないとこの俳優に騙されそうだ。リアルに、三鷹地方銀行に行くとこんな嫌な支店長がいて部下を虐めているに違いないと錯覚する。

大事件発生にも関わらず、対策はそっちのけ、自己保身と責任転嫁に終始。「お言葉を返すようですが!」と舞の怒りは爆発する。現実にはこの手の管理者がほとんどだから、佐戸井さんの演技は完璧である。

拙稿「<星の降る町で100万円の手形をなくした話>は事実なのだが、あの事件を解決した青年支店長は部下を一度も叱責しなかった。ひたすら、事件解決にのみ全人格、全能力を注力した。後年、ボクが尋ねると、既にその地銀の役員になっていた彼はこう言った。

 「早く解決してお客と部下を安心させたい。それしか頭に無かった。」

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