〈「少年ケニヤ」の山川惣治〉ジャングル大帝・仮面ライダー〜カムイ伝、、、、手塚治虫・石森章太郎・ちばてつや・横山光輝・梶原一騎・辻なおき・白土三平等々多くの漫画家に影響を与えた伝説の絵物語作家
昭和36年(1961)5月に「日本教育テレビ」(後のNETテレビ→テレビ朝日)が山川惣治原作「少年ケニヤ」を実写ドラマ化を皮切りに、テレビ放送を開始した。時に、山川惣治51歳である。
戦前戦後と運命に翻弄され続け、苦労を重ねた紙芝居作家の作品が、実写ドラマ版とは言えテレビの電波に乗って日本中の茶の間に届いた記念すべき瞬間であった。 山川惣治は明治41年2月28日、福島県生まれの紙芝居作者、絵物語作家でる。
「少年ケニヤ」は昭和26年より産業経済新聞で連載が始まった。 「少年ケニヤ」のテレビ放送時、筆者は小学校一年生であった。テレビドラマ化したことがあまりにも嬉しくて、ブラウン管の前で飛び上がった記憶がある。
実はそれより以前、5歳の頃の筆者は、貸本屋で絵物語「少年ケニヤ」を見てどうしても欲しくなった。貸本は当時一冊5円で1日借りる事ができた。翌日には、返却する決まりだ。ところがその本だけはどうしても自分の家に置きたかった。親にねだって貸本屋の親爺から3冊30円で買い取ってもらった。
その時、筆者はまだ字が読めない。しかし、絵を見るだけで十分ストーリーが理解できた。本の表紙には紅顔の美少年、金髪で豹の毛皮を身にまとった美少女、恐竜、大蛇、アフリカのサバンナが描かれていた。写真かと見紛うほどの描写力で人物も動物もアフリカの自然も生き生きと、かつ美しく描かれていた。
筆者は、山川惣治はアフリカ、ケニヤの住人なのだと思っていた。あに図らんや、取材で初めて山川惣治がアフリカの大地に立ったのは昭和55年72歳の時であった。