犯罪

墓荒らし 事件【上】

 <見えない犯人と闘う>

八つ墓村





数年前に実際にボクの身に起こった奇妙な事件について書き記す。

父の葬儀後一か月経過した頃、月命日に墓参した。
花を新しいのに取り替えようと思い県外の自宅から田舎の父の墓を訪れた。

ボクの目に変わり果てた父の墓の光景が飛び込んできた。
誰がしたのか?花指しに無造作に汚い造花が左右一対、差し込まれていた。墓の前にはいかにも雑な感じでセメントが流しこまれ、通路を覆っていた。あろうことか、余ったセメントを隣の家の墓の敷地に捨ててあった。

誰がこんなことをやったのだ⁉ボクは驚いた。がすぐに怒りがこみ上げてきた。そしてこんなことをした犯人の意図に恐怖した。お人好しだった父が他人の恨みを買うようなことはあるはずがない。なんとも言いようのない悲しみに襲われた。


しかし、呆然としている暇はなかった。すぐにでも犯人を見つけ出さねばならない。絶対に責任を取らせなければならない。ボクには驚いたり怒ったり悲しんだり恐怖している暇はなかった。

ただちに証拠と目撃者を探そうとした。現場には証拠らしいものは何も残されていなかった。目撃者と言ってもそうは簡単には見つけられるものではない。

ひとつの方法として、立て看板を立てて〇年〇月から〇年×月までの間に墓荒らしを目撃した人はご連絡くださいというふうに表示することを思い付いた。あるいは直接犯人に対し、こういうことをされて迷惑していますから名乗り出てくださいと書くかだ。

しかし、犯人が相当な恨みがあってやったことなら、立て看板なぞ何の効果もないだろう。へし折られて終わるだけだ。立て看板のプランは挫折した。



なんとか犯人の手がかりを得ようと、ボクは各所に連絡をした。

まず、〇亀警察署ド田舎交番。墓荒らしはれっきとした犯罪だから警察に通報するのは当然だ。ボクの家以外の墓も被害に遭う可能性だってある。
しかし、日本で一番レベルの低い県警の、さらに県内で一番無能と言われている〇亀警察署は何の反応もしなかった。ボクが電話しても事件に対しての質問すらせず、

「ああ、そう。ハイハイ。一応聞いておくからな。」

と答えた。ボクはこの時の警官のこえと名前は今でも覚えている。恨んでいる。


この警察署はここ数年、身内から犯罪者を出してはもみ消している。恐喝、痴漢、交通犯罪者、それらの事件をことごとく隠ぺいした結果、テレビ局や新聞社に通報され、叩かれている。

いっそのこと解散して隣の県警に吸収合併してもらえばと思う。およそ、正義と言う言葉が似つかわしくない無知無能の税金泥棒集団である。


村役場にも連絡した。この墓地は村営の共同墓地である。だから、村の公営物が破壊されたわけである。すぐに村役場の総務課長が飛んできた。墓の周りをぐるぐる回って、うちの家の他にも被害はないか点検した。さすがにやることだけはやってくれる。この点、捜査もしない現場にも来ないバカ県警〇亀警察署よりは随分ましだ。しかし、総務課長の奥歯にものの引っかかったような言葉は気になった。

ボクが公物損壊で行政から捜査や告発はしてもらえないですか?と言ったらすぐさま断わられた。なぜ⁉と聞くと、もめごとは困る、、と言って迷惑そうな顔をした。



最後に、ひと月前の父の葬儀に来てくれた人や手伝ってくれた人に順番に連絡した。葬儀屋、墓石屋、僧侶、親戚、寄り合い(町内会)何人かは現場に飛んできて、酷いことをする、罰当たりが‼誰の仕業か見つけたらただでは置かんぞ等と憤って見せてくれた。



三日ほどボクは父の家に滞在しててがかりをつかもうとした。しかし、進展なく時間は過ぎて行った。姿の見えない犯人。だれが何のためにやったのだ。恨みか?嫌がらせか?ボクは不安にかられ、ひどく陰鬱な気持ちのまま三日間を過ごした。

あきらめて父の家を辞し、いったん県外の自宅に戻った。

帰宅した翌日、一本の電話から事態は急展開する。
カテゴリー
お問い合わせ