梶原一騎

「新カラテ地獄変」昭和58年・サンケイ出版~これは成人向け「空手バカ一代なのか?」

昭和58年にサンケイ出版から出た「新カラテ地獄変」単行本の9、10、13、14巻を読んだ。
これは「空手バカ一代」の愛読者の少年たちが、成人したり、少年漫画から青年コミックに移行するのをターゲットにして描かれたものなんでしょうか?
で私が読んだ9巻「野望の塔」、10巻「英雄達の陰画」、13巻「影の政府」、14巻「革命の羊」は作品中、特に格闘や拷問シークエンスが残虐で本当に梶原一騎さんの原作なのだろうか?実弟の真樹日佐夫さんの代筆なんじゃないかと言う噂のあった作品です。

また、余談ながら故人の文豪三島由紀夫さんが戦後アメ横で平田弘史さんの破壊主義の劇画(おそらく『血だるま剣法』などの一連の作品を指していると思う。)を探し求めて徘徊したという評論家平岡正明さんの説を思い出しました。
作家の年代別エビデンスを持っていた私の同級生の漫画家によると戦後を例えば昭和20年から昭和25年までに限定するとそのエピソードの信ぴょう性がなくなるとのことでした。なぜなら東京生まれの平田弘史先生が大阪でデビューしたのは昭和33年。ましてデビュー当時から『血だるま剣法』のような凄まじいタッチの絵は描いていないはずだから、三島由紀夫がアメ横で平田弘史さんの破壊主義の劇画を探し求め歩いたのは昭和40年代の可能性が高いということになります。

事程左様に噂、情報と言うものは過激に誇大に伝わりやすいものなのでしょう。


話を「新カラテ地獄変」に戻しますが、本編四巻の残酷シークエンスは平田弘史さんの『血だるま剣法』に匹敵するほどのインパクトがあります。そういう印象から本作品の影の作者が真樹日佐夫さんではないかと言う噂が広まったのではないかと思われます。



空手バカ一代 作梶原一騎 画影丸譲也 を読んで

以前、このシリーズの作画つのだじろうさんの方をまとめて読み返して感慨深かったので、後編にあたる影丸譲也さんの方を読んでみた。面白い。連載時と比べて50年以上時が経っているので自分の感性や考え方が変わったために読後の印象が変化した部分もあると思う。


全くの余談ながら、50年前にこの漫画が少年マガジンに連載されていた頃、父親に「力道山VS木村政彦を知っているか?」、「牛と戦った空手家の名前を知っているか?」と聞いたら意外にも「yes」と答えたのに驚いた。前者については「昭和の巌流島の戦い」と答え、後者については「牛殺しの大山倍達(オオヤマバイタツと発音した。)だろう。」と大正12年生まれの父は言った。

日頃は「プロレスは八百長だから見ない。」と公言していた父親をその時だけは少し見直した記憶がある。

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