さいとう・たかを氏は別の著書で、処女作「空気男爵」128ページを2年近くかけて完成させたのが昭和30年。18歳の時。大阪在住で、昼間は理容師をしながらの漫画製作だったと述懐しています。

後年の「ゴルゴ13」や「ゴリラマガジン」、「台風五郎」等の名作劇画の描線の美しさは、日本画家尾形梅花に師事したことによって培われたとしています。

また、ドラマの構成力やコマ割りの妙は、氏の長兄が進駐軍から貰い受けた「スーパーマン」や「バットマン」と言ったアメリカンコミックから多大な影響を受けたようです。
「劇画」の命名者は辰巳ヨシヒロ氏なのに、なぜ、さいとう・たかを氏が「劇画の王様」と呼ばれるのか、永年の謎でしたが、その理由は、年齢キャリアを問わず、劇画工房の中でさいとう氏が常にリーダーであった事、絵が抜群にうまかった事、分業制を提唱した事、出版社がさいとう氏のギャラを最高に評価した事等によるものらしいです。

さいとう・たかをのデビュー作品、是非、御堪能ください。